シニア層の老後資金需要が拡大し、全国的にリバースモーゲージが改めて注目されています。注目度が高まる背景やニーズ、利用者にとってのメリットやデメリットについてみていきましょう。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、住宅を担保に資金を借り入れ、死亡後にその住宅を売却することで一括返済をする仕組みです。各都道府県の社会福祉協議会が取り扱う制度と、民間の金融機関が扱う制度の2種に分けられます。

社会福祉協議会が取り扱うリバースモーゲージは、市町村民税の非課税世帯など、低所得者を対象とした生活支援が目的です。一方、民間の金融機関で扱うリバースモーゲージは、生活資金はもとより、趣味や旅行、リフォーム資金など用途は幅広となっています。今回は、民間の金融機関が扱うリバースモーゲージをみていくことにしましょう。

リバースモーゲージはいわゆる借り入れですが、住宅ローンのような通常の借り入れのように、借入直後に元金と利息の支払いが始まるのではなく、生存中は利息のみを返済すれば良いため、自宅という不動産を活用して生前に使える資金を増やすことができるのが特徴です。

対象者は、金融機関によって55歳以上や60歳以上などそれぞれですが、いずれにしても高齢者を対象としており老後を豊かに過ごすための貸付制度となっています。

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普及が進みそうなリバースモーゲージ

2005年に東京スター銀行が取り扱いを開始した当初は非常に珍しい制度でしたが、今では多くの金融機関が取り扱いを始めています。国土交通省の「令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書(令和5年3月31日訂正)」によると、リバースモーゲージを「現在商品として取り扱っている」と答えた金融機関は154機関。さらに、「商品化を検討中」と回答した金融機関は358機関にも上り、今後もますますリバースモーゲージが普及していくことが想像できます。実際に、最近はCM・広告で目にする機会も増えており、筆者のFP相談でも、リバースモーゲージについて相談者から口火を切る場面もでてきました。