相続関係説明図とは?作成の手順や活用できる場面を解説

相続関係説明図は、亡くなった人と遺産を相続する人の関係性がまとめられた表です。遺産相続時に必須の書類ではありませんが、相続関係説明図を作成しているとよりスムーズに手続きができる可能性があります。本記事では、相続関係説明図を活用できる場面や作成方法などを解説します。

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い

法定相続情報一覧図は、相続関係説明図と同じく被相続人と相続人の関係性を明確にする際に用いられる書類です。法定相続情報一覧図と相続関係説明図は、以下の点が異なります。

※金融機関によっては提出を求められる場合もある

相続関係説明書は公的な書面ではなく、記載方法が厳密に決められているわけでもありません。それに対して法定相続情報一覧図は、法務局の「法定相続情報証明制度」によって認証される公的な書類です。そのため、様式や記入項目が厳格に決められています。

法定相続情報一覧時の写しは、被相続人の相続関係を公的に証明できる書類となります。相続関係説明図は相続登記をする時しか利用できませんが、法定相続情報一覧図であれば、金融機関口座の名義変更などの手続きにも利用が可能です。

また、相続手続きの際に法定相続情報一覧図を提出する場合、戸籍謄本の原本提出が不要となります。被相続人が、不動産や金融機関口座などを複数持っている場合、多くの法定情報一覧図を取得していれば、相続手続きをスムーズに進められるでしょう。

ただし、法定相続一覧図を取得するためには、法務局の審査を受けて認証をしてもらわなければなりません。そのため、法務局に申請してから取得するまでに1週間〜10日ほどかかります。

相続手続きをする機会が少ないのであれば、法定相続情報一覧図を取得しなくても、相続関係説明図があれば充分な場合があります。

法定相続情報一覧図を申請する時は、法務局のホームページで公開されている「主な法定相続情報一覧図の様式および記載例」を確認するとよいでしょう。

(広告の後にも続きます)

相続関係説明図の作成方法

相続関係説明図を作成する手順は、次のとおりです。

1.必要書類を準備する
2.情報を記入して図を作成する

手順を1つずつ解説します。

①必要書類を準備する

相続関係説明図を作成する前に、以下の書類を集めます。

・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)
・相続人全員の戸籍謄本(または戸籍抄本)
・相続人全員の住民票(または戸籍の附票)

戸籍謄本は、本籍地となっている住所を管轄する市区町村役場で取得できます。市区町村役場の窓口で取得できるほか、郵送で取り寄せることもできます。被相続人の本籍地が分からない場合は、住民票の除票を取り寄せて確認するとよいでしょう。

戸籍を取得できるのは、本人または委任状を持った代理人です。本人が死亡している場合は、親族が取得することも可能です。親族が取得する時は、その親族の戸籍謄本など亡くなった本人と親族関係が確認できる書類が別途必要となります。

被相続人が結婚や離婚などで転籍を繰り返している場合、本籍地があったすべての市区町村役場で戸籍謄本を取得しなければならず、時間がかかることがあります。
戸籍謄本の収集に時間や手間がかかるのであれば、司法書士や弁護士などの専門家に依頼をするのも方法です。

②情報を記入して図を作成する

必要書類が集まったら、相続関係説明図を作成していきましょう。作成手順は、以下のとおりです。

1.タイトルに「相続関係説明図」と書く
2.1の下に「被相続人〇〇(被相続人の名称)」と「相続関係説明図」を記載
3.被相続人の住所・死亡日・氏名などを記載
4.相続人の住所・出生日・被相続人との続柄・氏名を一人ずつ記載
5.配偶者は二重線、子供や親などは一本線でつなぐ

相続関係説明図は、手書きとパソコンのどちらでも作成が可能です。パソコンで作成する場合は、エクセルなどの表計算ソフトを利用するとよいでしょう。特に、複数枚の相続関係説明図を作成する場合、手書きよりもパソコンの方が負担は少ないといえます。

相続関係説明図の記入例

では、相続関係説明図を作成する場合、項目をどのように記載をすればよいのでしょうか。ここでは、相続人が配偶者と子供二人である場合の記載例をご紹介します。

※画像引用:法務局「不動産登記の申請書様式について」

被相続人と相続人の関係性がシンプルであれば、相続関係説明図は比較的簡単に作成できるでしょう。

ただし「相続の開始時点で相続人である子供が亡くなって孫が代襲相続をすることになった」「被相続人に離婚した前妻との子供がいる」などのケースでは、書き方が異なります。

相続関係説明図の記載方法で悩んだ時は、法務局の「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」を参考にするとよいでしょう。相続関係説明図と法定相続情報一覧図の書き方は基本的に同じであるため、法務局の様式や記載例を参考に作成できます。