火災保険というと「自分の家が災害を受けて、壁や門、屋根などが壊れたときに補償してくれるもの」と思っている人も少なくありません。しかし、実際はもっと広い範囲で大切な家を守ってくれるものなのです。そこで今回は、火災保険で補償の対象になるものと、補償を受けられるケースについて紹介していきましょう。

火災保険の補償対象「建物」「家財」

家が災害に遭ったときに備えて加入しておくのが火災保険。補償対象になるものは「家」だけではありません。家の中にあるものも補償対象になる可能性があります。

それは、「家財」です。家の中には、テレビなどの家電製品や家具など、高価なものがたくさんありますよね。そんな家財を火災保険が補償してくれます。

 

火災保険は「建物」と「家財」が補償対象になっているのですが、火災保険を契約するときは「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」から、必要な補償プランを選択して契約します。

そして、実際に災害に遭って、被害を被ったときに契約内容に応じて損害保険金が支払われます。

 

もちろん、建物のみでの契約では、災害で家財に損害が出ても補償はされません。家財の損害にも備えておきたいときは、「建物+家財」の補償プランで契約しましょう。

 

賃貸住宅に住んでいる場合、建物は大家さんが火災保険に加入していることが多いのですが、大家さんが火災保険に入っていることが確認できたら、もしもの備えは「家財のみ」でよいでしょう。

 

また、次に書いてあるものは「家財」の補償の対象外となります。注意しましょう。

 

【家財の補償対象外(例)】

自動車、バイク、動物や植物などの生き物、有価証券、株券、小切手、プリペイドカード、電子マネー、帳簿、設計書、データ、ソフトウェア、プログラムなど

 

1個(または1組)が30万円を超える貴金属や美術品などは、保険会社に事前申告して、保険証券に「明記物件」として記載をしてもらわないと、補償対象にはなりません。対象になりそうなものがある場合は、保険会社に相談しましょう。

 

補償対象の詳細については、契約のしおりや約款などで確認されることをおすすめします。

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火災保険の補償範囲「破損・汚損」

火災保険の内容をよく見てみると、補償範囲としていくつかのケースが設定されています。

例えば、

〇火災・落雷・破裂・爆発による損害

〇風災・雹(ひょう)災・雪災による損害

〇物体の落下・飛来・衝突による損害

〇漏水などによる水濡(ぬ)れ

〇盗難

〇破損・汚損

などのケースです。

 

このうち、注目していただきたいのが「破損・汚損」による損害です。

破損・汚損とは「不測かつ突発的な事故による損害」のことです。これは、台風や集中豪雨、洪水、高潮など自然災害による損害は対象外となります。

 

では、どんな損害が対象となるのでしょうか?

「物をぶつけて壁や家具、家電などを壊してしまった」など、不意に起こった、または、うっかりして起こしてしまった損害が対象となります。

これらのケースは家の中で起きるので、「家財」の契約をしておけば、破損や汚損が起きても安心です。

 

ちなみに、火災保険で家財の契約をするときは、あらかじめ「免責金額」が設定されます。

免責金額とは、損害が発生したときの自己負担額のことです。保険会社は、損害額から自己負担となる免責金額を差し引いた金額を損害保険金として支払います。

 

免責金額を0円にして契約することもできますが、その場合は保険料が高くなります。免責金額を設定しておけば、保険会社に支払う保険料を抑えることができるので、検討するとよいでしょう。

 

また、損害保険金の請求期限(時効)は3年です。請求を先延ばしにしていると、保険会社の保険金支払い義務が時効になってしまい、保険金が受け取れなくなってしまいます。そのため、損害を受けたら速やかに保険会社へ請求しましょう。