親の認知症に備える財産管理方法!メリット・デメリットを徹底比較!

家族が認知症になってしまったとき、その財産をどのように管理すればいいのか不安な人も多いのではないでしょうか。本記事では、「法定後見制度」「任意後見制度」「家族信託」「財産管理委任契約」の紹介を通して、認知症に備えた財産管理方法を解説します。

判断力が欠く状態の場合は法定後見制度

法定後見制度は、成年後見制度の一つで、判断能力の低下の度合いに応じて3つのタイプがあります。本人の判断能力・認知能力の低下が最も著しい場合は「成年後見」となり、次に「保佐」「補助」と続きます。

成年後見人、保佐人、補助人によって与えられる権限が異なります。代理権、同意権、取消権など与えられた権限の範囲で財産の管理や本人の利益の保護を行います。

法定後見制度のメリット

法定後見制度のメリットは、本人の判断能力が欠く状態になった後に利用できる唯一の制度であることです。また、後見人に取消権があることも大きな利点です。取消権とは、法律行為の取り消しができる権利のことをいいます。これによって、判断能力を欠く本人が、詐欺の被害に遭ったり、不適切な契約・出費をしたりしても事後対応がしやすくなります。

法定後見制度のデメリット

法定後見制度の主なデメリットは、後見人や後見内容が家庭裁判所の判断や制度に縛られ、自由度が低いことが挙げられます。後見人も家庭裁判所が選任した人に限られます。

法定後見制度の利用の流れ

法定後見制度の利用は以下の流れで進めます。

1.家庭裁判所に申し立て
2.家庭裁判所が審理・審判
3.審判の確定および後見登記
4.法定後見事務の開始

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判断力があるうちは任意後見制度

任意後見制度も法定後見制度と同様に成年後見制度の一つですが、本人の判断能力が健在ならば、任意後見制度を利用することができます。財産の管理や本人の利益の保護が開始されるのは、本人の判断能力が低下してからですが、本人の意向を反映させやすい制度です。

任意後見制度のメリット

任意後見制度のメリットは、法定後見制度と比べて自由度が高いことです。本人の判断能力があるうちに、後見人や保護内容など多くのことを当事者間で柔軟に決めることができ、公正証書によりその契約に法的な効力を与えられます。

任意後見制度のデメリット

任意後見制度の主なデメリットは、法定後見制度には存在する取消権が認められないことが挙げられます。後述する家族信託や財産管理委任契約と比較すると、手続きが煩雑という点もデメリットでしょう。

任意後見制度の利用の流れ

任意後見制度の利用は以下の流れで進めます。

1.任意後見人受任者の選定・契約内容を決定する
2.公証役場で公正証書によって契約締結
3.判断能力の低下
4.家庭裁判所で任意後見監督人の選任を申し立て
5.任意後見監督人の選任
6.任意後見事務の開始

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