親の認知症に備える財産管理方法!メリット・デメリットを徹底比較!

家族が認知症になってしまったとき、その財産をどのように管理すればいいのか不安な人も多いのではないでしょうか。本記事では、「法定後見制度」「任意後見制度」「家族信託」「財産管理委任契約」の紹介を通して、認知症に備えた財産管理方法を解説します。

認知症になったら銀行口座が凍結してしまう?!

認知症によって本人の判断能力が著しく低下している事実を銀行が知った場合、銀行側で口座取引に制限をかけてしまうことがあります。
従来通りの自動引き落としや振り込みは継続される一方で、契約変更や払い戻しなど、本人の判断能力を要する取引はできなくなることが多いです。この口座凍結状態は基本的に本人(名義人)が亡くなり、相続手続きが完了するまで解除されません。

銀行口座が凍結してしまったときの解決方法

口座取引の制限解除は、いくつかの条件付きで銀行が対応してくれる場合もあります。しかし、こうした柔軟な対応は必ずしも期待できるものではありません。したがって、口座凍結を解除するには、法定後見制度の利用が唯一確実な手段でしょう。

法定後見制度で後見人が選任された場合には、その凍結された口座のみならず本人の財産は全て後見人に管理されることになります。それだけ、本人の判断能力の有無は重要であり、判断能力が低下した場合には後見人の担う役割が大きいということも分かるでしょう。

認知症で銀行口座が凍結される理由

認知症によって銀行が口座凍結措置をするのは、名義者の財産を守るためです。

例えば、本人の判断能力が低下しているのをいいことに、第三者が詐欺などの手法で口座を悪用してしまうかもしれません。たとえ家族であっても、本人の意思確認がないまま自由に口座を利用させてしまっては、後で相続問題などのトラブルに発展してしまう可能性もあります。銀行としても口座凍結はやむを得ない対応といえるでしょう。

認知症になる前にやっておくべきこと

口座取引の制限解除には法定後見制度の利用が解決策になりますが、それも万能の手段ではありません。すでに紹介したように法定後見制度は法的な制限が強いため、本人または親族などの意向を完全に反映できるとは限らないからです。

したがって、認知症になる前、あるいは軽度認知障害の段階で本人の判断能力が十分残っているうちに、任意後見制度や家族信託の利用を検討することをおすすめします。

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認知症に備えて財産管理を考えよう!

本人のためにも、家族のためにも、財産管理は認知症になる前から考えるのがベストです。本記事を参考に、本人や家族の意向に適した制度の利用を検討することをおすすめします。

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堀智弘

堀総合法律事務所代表、大阪弁護士会所属。単独で事務所の代表を務め「経営のわかる弁護士」として中小企業経営者に寄り添うとともに、素早く丁寧で法律論に囚われない柔軟な対応により一般の市民の方々からも好評を得ている。業務は中小企業の支援と相続問題が中心。年間相談件数300件以上。セミナー・講演実績も多数。