二世帯同居でパートさんの言葉を実体験

5人のパートさんと話していたと言っても、5人が一斉に集まって話をしていたわけではなく、基本的には私とそれぞれのパートさん1対1の付き合いでした。にもかかわらず、5人全員から似たような話を聞いたことがあります。それは、「義理の実家に行きたくない理由」の一つで、「食器が汚い」というものでした。

ある1人の話を今でも鮮明に覚えています。「毎食後にちゃんと洗っている姿を見てはいるんだけれど、毎回出される食器が汚くて驚く」とのこと。正直そんなことあるのかと疑問に思っていたのですが……事情があって実の両親と同居するようになって、その言葉を体感することになりました。

わが家は現在、二世帯同居です。食事は基本的に世帯ごとに作っているのですが、台所や食器類は二世帯で共用しており、食事前に鍋などは私が洗い、食事後の食器類は母が洗っています。

食洗器がないため、洗うときにはスポンジに洗剤を付けて手洗いしているのですが、たしかに時折、しっかり洗ってしまったはずの食器に汚れが付いているのです。毎食後、母がそれなりに時間を掛けて洗剤を泡を立てて食器を洗い、ゆすいでいる姿を見るのに……です。

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日常生活に影響する「衰え」

余りに汚れが残っているので、あるとき母にそっと話してみました。なるべく角が立たないように、「最近ちょっと汚れが残ってることがあるんだよね」という感じで軽く話をしたのですが……そこで母から出た言葉は「え? そうなの? 知らなかった」でした。

その返事に私はびっくり! 明らかに汚れているのに、まったく気付いていなかっただなんて……。母は食器をまじまじと見て確認し、「あらやだ、ホント!」と汚れが残っていることに驚いているのでした。

母は特別きれい好きというわけではありませんが、汚くても全然平気という人でもありません。単純に、汚れに気付いていなかったようです。最終的には食洗器を設置することになって、汚れが残っている回数も激減しました。

でも、そもそもなぜこんなことになったのでしょう。私なりの結論は、「衰え」でした。日常生活を共にしてみると、両親が年と共に注意力が散漫になっていること、老眼が進んで物が見えにくくなっていること、視野が狭くなっていることなどに気付きます。他にも挙げればキリがありませんが、こういった衰えによって「食器に汚れが残る、残っている汚れに気付かない」ということが起きたのかなと思っています。