50代におすすめの資産運用と注意したいポイントを徹底解説

50代になり、老後生活に備えて資産運用を始めたいとは思うものの、何をしたらよいかわからない人も少なくありません。ここでは、50代が資産運用をすべき理由や、おすすめの運用方法、50代の運用の注意点などを解説します。セカンドライフに向けて資産運用をはじめましょう。

50代が資産運用をすべき理由

50代は定年後の生き方や老後のことを意識し始める年代です。50代が資産運用をすべき理由について考えてみましょう。

余裕資金があり資産運用しやすい?50代の平均貯蓄額

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和3年)」によると、50代で貯蓄がある人の平均貯金額と中央値は下記の通りです。中央値とは、金額を少ない順に並べたときの中央にくる金額を指します。

<50代の平均貯蓄額(金融資産保有世帯)>
2人以上世帯:1,825万円(中央値800万円)
単身世帯:1,675万円(中央値675万円)

2人以上世帯は1,825万円、単身でも1,675万円と、平均だけでみると老後に向けて資産形成ができているようにもみえます。しかし、あくまでも平均額で、中央値でみると、2人以上世帯800万円、単身675万円と半分以下になり、それだけ格差があることがわかります。

また、金融資産を保有していない50代が、2人以上世帯で23.2%、単身世帯で35.7%いることも、大きな問題です。金融資産が少ない、もしくはまったくないという人はいざお金が必要になった時のために備えとなる金融資産を保有しておくべきですし、金融資産を保有している人であっても安心できるよう備えにラストスパートをかける年代といえます。

余剰資金が作りやすい50代のうちに資産運用をはじめてさらなる余剰資金を増やしていきましょう。

【参考】金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」詳しくはこちら

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老後資金の必要性が現実的に

50代は、定年後のセカンドライフをどう過ごすのか、現実的にイメージし始める時期です。どこに住んで、何歳まで働くのか。定年後にやりたいことは何かなど、思い描くのではないでしょうか。中には、要介護期はどこでどう過ごすのかまで考える人もいることでしょう。

そして、描いた老後生活を実現するための老後資金の準備がどうかについて、真剣に考える機会が増える年代でもあります。だからこそ、資産運用にも目を向ける意味があります。

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平均寿命はどんどん伸びている

50代が資産運用をすべき理由の1つに、平均寿命が伸びる傾向にあることが挙げられます。医療技術の進展によるものが大きいと考えられます。

厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳となっています。ほぼ50年前の1970年時点では、男性の平均寿命は69.31歳、女性の平均寿命は74.66歳でしたので、じわじわと伸びているのがわかります。

平均寿命が伸びれば、定年以降の期間が長くなることから、より多くの老後資金が必要になります。前述のように、介護が必要になれば介護費用もかかるでしょう。自分らしい老後期を送るためにも、50代は資産運用を検討していく必要があるといえます。

【参考】厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」詳しくはこちら

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50代におすすめの資産運用方法

では、50代の投資ビギナーの人が資産運用を始める際には、どのような選択肢があるかみてみましょう。

投資信託

投資信託は「ファンド」とも呼ばれますが、投資家から集めた資金を1つにまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が国内外の株式・債券などに投資・運用する金融商品です。投資信託協会によると、投資信託は約6,000本 (2022年11月現在)あります。運用で得た利益は、分配金としてそれぞれの投資額に応じて分配されます。

投資信託は、少額から投資できることが魅力のひとつ。金融機関によって異なりますが、1万円程度から始められるところが一般的です。専門家が運用をしてくれるので、商品を選んだあとの運用は「お任せ」できる点がメリットです。投資信託の仕組みやリスクはしっかり理解する必要がありますが、「投資をしたいけれど詳しく勉強する時間がない」という人に向いているかもしれません。

投資信託はあくまでも運用ですので、元本が保証されているわけではありません。しかし、複数の資産に分けて投資する「分散投資」により、投資のリスクを軽減できる商品とされています。

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NISA・つみたてNISA

NISA・つみたてNISAとは、国が設けた投資の非課税制度のことです。

つみたてNISAの対象となるのは、投資信託の積立(ETFを含む)で、投資した年から20年間は運用益等が非課税になります。非課税投資枠は年間最大40万円です。つみたてNISAの対象となる投資信託は、投資のリスク軽減につながる「長期」「積立」「分散」投資に適した商品となるよう、法令上の制限があります。50代から資産運用を開始する人にとって好ましい制度といえます。

一方、NISAは、投資をした年から5年間は配当金・分配金や譲渡益が非課税となる制度で、非課税投資枠は年間最大120万円です。対象商品は国内・外国株式、投資信託などです。つみたてNISAとNISAは、2023年末までは併用できません。

現在のNISA制度は、2024年以降は新NISAとして大きく変更となります。新NISA制度は恒久化され、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの投資枠が設けられています。つみたて投資枠の年間投資額は120万円、成長投資枠の年間投資額は240万円、この二つの投資枠は併用することができるので、年間360万円の投資が可能です。
また、非課税保有限度額が1,800万円(成長投資枠で1,200万円)と劇的な変化です(この新制度は既存のNISAとは別枠となります)。50代から資産運用を始める人には、ますますNISAを活用したいタイミングといえるでしょう。

■新NISA(2024年以降)

※1:非課税保有期間の無期限化に伴い、現行のつみたてNISAと同様、定期的に利用者の住所等を確認し、制度の適正な運用を担保
※2:利用者それぞれの非課税保有限度額については、金融機関から一定のクラウドを利用して提供された情報を国税庁において管理
※3:金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買への勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を改正し、これに基づき監督及びモニタリングを実施
※4:2023年末までにジュニアNISAにおいて投資した商品は、5年間の非課税期間が終了しても、所定の手続きを経ることで、18歳になるまでは非課税措置が受けられることとなっているが、今回、その手続を省略することとし、利用者の利便性向上を手当て
【出典】金融庁サイト「NISAとは?」詳しくはこちら

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iDeCo

iDeCoは個人が自分で掛金を拠出し、運用方法を選んで運用する個人型確定拠出年金の愛称です。運用益が非課税であるという点ではつみたてNISA、NISAと同じですが、iDeCoは60〜65歳(加入期間に応じて受給可能な年齢が異なる)まで原則引き出しができない代わりに、拠出金は全額が所得控除の対象、運用益は非課税、受給時には公的年金等控除や退職所得控除の対象となるなど税制上の優遇措置があります。

iDeCoに加入できる年齢は原則60歳までですが、60歳以降も会社員・公務員の人(国民年金の第2号被保険者)や、自営業等の第1号被保険者で国民年金への任意加入をした人は、65歳まで加入することができます。また、受給開始年齢も最長で75歳と伸びました。

定年後の働き方や、あるいは老後資金準備状況などに合わせて検討するとよいでしょう。

※通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が加入期間に応じて繰り下げられます

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個人年金保険

個人年金保険は、契約時に決めた一定年齢から年金が受け取れる貯蓄型の保険です。円建てで積み立て、将来の受取年金額が契約時に決まる「個人年金保険」のほか、国内外の株式や債券などで運用し運用成果によって将来の年金受取額が変動する「変額個人年金保険」、米ドルや豪ドルなどで運用される「外貨建個人年金保険」などがあります。

年金の受取方法には、5年、10年、15年といった一定期間に受け取る「確定年金」と、生きている限り受け取れる「終身年金」があります。終身年金では死亡時期が早いと受け取る年金額が少なくなる可能性があるため、5年、10年など保証期間がついた「保証期間付終身年金」が主流です。要件を満たす個人年金保険では、生命保険料控除の対象にもなります。

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定期預金

定期預金は、1カ月~10年などあらかじめ預入期間を決めて銀行などで利用する預金です。商品の仕組みとしては元本割れのリスクがない安全性の高い商品で、定期預金は普通預金より金利は高くなっています。通常は固定金利ですが、中には変動金利の商品もあります。

自動継続にしておけば、満期が来ても自動的に更新され、金利は更新時点のものが適用となります。中途解約は可能ですが、普通預金並みの解約金利が適用されます。

預金保険制度の対象になっており、万が一預けた金融機関が破綻しても、元金1,000万円+利息は保証されます。

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