かつお節の健康効果
さまざまな栄養素とアミノ酸を含むかつお節。かつお節を食べることでどのような健康効果があるのでしょうか。
1.疲労回復
かつおだしに含まれるアンセリン、カルシノンは、疲労を回復する効果があります。動物に激しい運動をさせた後で、かつおだしを与えると、水やアンセリン、カルシノンをそれぞれ単体で与えた場合に比べて、自発的に運動するエネルギー源が残っていることが分かっています。
2.生活習慣病予防
生魚のカツオのたんぱく質は、重量のおよそ25%ですが、かつお節は水分が抜けて約70%になります。また、脂質は、100グラム当たり約3グラムと低く、その脂質には悪玉コレステロール(LDL)を減らす働きがあると言われている多価不飽和脂肪酸が多く含まれています。かつお節は、高たんぱく・低脂質で生活習慣病の予防になります。
3.元気な体を作る
かつお節に含まれるアミノ酸は、必須アミノ酸を含めて30種になります。その中には、乳幼児の成長に欠かせないヒスチジンや、血中のコレステロールを下げ、血圧を正常に保つタウリンも含まれています。かつお節は子どもから高齢者まで、成長や健康を助ける優れた食品なのです。
4.お腹に優しい
かつお節は消化も良いため、食欲がない時や、子どもや高齢者など消化力の弱い方にもおすすめできます。
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かつお節の美容効果
栄養価の高いかつお節には、たんぱく質をはじめ、アミノ酸の働きもあり、美容に良い作用が期待できます。
1.美肌効果
かつお節には、たんぱく質が多いだけでなく、肌にハリと潤いを与える必須アミノ酸のメチオニンが多く含まれており、美肌づくりに役立ちます。また、ビタミンB2には、肌の新陳代謝を促進し、脂質をエネルギーに変換して脂を抑える働きもあり、ニキビ、肌荒れ、抜け毛などに効果的です。
2.肥満防止
かつお節に含まれる乳酸やヒスチジン、イノシン酸には、疲労回復や血流の改善効果が認められています。また、胃の働きを促進して満腹感を高めてくれるため、食事の際には、かつおだしの汁物から食べれば、食べ過ぎを防ぐことが期待できます。
3.アンチエイジング
かつお節のうまみ成分であるイノシン酸は、新しい細胞を作るために欠かせない成分です。イノシン酸は体内で作ることができますが、年齢とともに合成能力が衰えていきます。かつお節でイノシン酸を補うことで、細胞の生まれ変わりを助け、老化を防止します。
かつお節の使い方やコツ
かつお節には、「枯節」「荒節」の種類の違いだけでなく、「削り方」にもさまざまあります。
「種類」と「削り方」のそれぞれの特徴を知った上で、かつお節を活用するのがポイントです。
■かつお節の種類で異なる特徴や用途
種 類 | 特 徴 | 主な用途 |
枯節 |
豊かな香りと上品な味わいで、うまみが強い。 素材を引き立てる料理に向く。 |
・お吸い物 ・おひたし ・上品な薄味の煮物や茶碗蒸し ・おもてなし料理 |
荒節 |
魚本来の風味や燻した香りが強い、濃厚な味わい。 醤油との相性が良い。 |
・煮物 ・うどん、そばなどのつゆ ・みそ汁 |
■かつお節の削り方で異なる特徴や用途
削り方 | 特 徴 | 主な用途 |
薄削り |
香りを楽しむ。 加熱するなら短時間で、または水だしで。 |
・お吸い物のだし |
厚削り |
濃厚なだしをとるのに向く。 | ・麺つゆ ・煮付け |
ソフト削り |
薄くて軟らかいので、料理に使いやすい。 | ・料理のトッピング ・だし |
糸削り |
ふりかけには、砕片、ソフト、マイルドが良い。 飾りには糸削り。 |
・添え物 ・お好み焼き ・ふりかけ |
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かつお節の保存法やコツ
かつお節をいつでもおいしく食べるためには、適切に保存することが大切です。そのために、必ず守りたいポイントと、かつお節の種類別の保管方法、その他の注意事項を見ていきましょう。
1.重要なポイントは、「高温多湿を避ける」
かつお節は、湿気にとても弱い食品です。かつお節が水分を含むと風味が落ち、悪性のカビが発生しやすくなります。
2.種類別の保存方法
種類 | 未開封 | 開封後 |
枯節 |
冷暗所で保存 | ラップで包み冷蔵庫で保存 ※結露により悪性カビが生えないように注意。 |
荒節 |
冷暗所で保存 | 冷蔵庫で保存 |
3.その他の注意
・冷蔵庫で保管する場合、野菜室は湿度が高めに設定されているため、かつお節の保存には適していません。
・「荒節」の開封後は、香りが飛びやすいので、なるべく早く使い切ってしまいましょう。
・使い切れない時は、空気を抜いてしっかりと密閉した上で、冷蔵庫で保管しましょう。
・冷凍庫から出した後、そのままにしておくと、結露が発生して悪性のカビの原因になります。頻繁に出し入れするような場合は、十分に注意しましょう。
かつお節の効率的な食べ方
かつお節を食べるなら、かつお節が持つ力を十分に生かした食べ方をしたい!その3つの方法をご紹介します。
その1.油と一緒に
かつお節に含まれるビタミンDは脂溶性のため、油と一緒に摂取することで、体の吸収が良くなります。
その2.ホウレンソウやタケノコと一緒に
シュウ酸を多く含む、ホウレンソウやタケノコを食べる時には、かつお節のカルシウムと一緒に食べるのが有効です。シュウ酸とカルシウムが結合して、便として排出され、尿中にシュウ酸が増えないことから、結石の予防になります。
その3.牛乳やチーズと一緒に
牛乳やチーズなどに豊富に含まれるカルシウムは、かつお節に含まれるビタミンDと組み合わせることで吸収率が上がります。
栄養、健康効果、美容効果のある「かつお節」を活用しよう!(まとめ)
かつお節の中でも、カビ付けされた「枯節」は、熟成させていくことで、うまみ成分が作り出される発酵食品です。ゆっくりと発酵することにより、優しく上品な香りを引き出すだけでなく、水分が出て、より長く保存ができるというメリットも。
また、かつお節には、豊富な栄養素と、9種類全ての必須アミノ酸が含まれている、優秀な食品です。その栄養パワーから、疲労回復や美肌効果も期待できます。
枯節や荒節の使い分けや、削り方によって用途を変えるなど、かつお節には、さまざまな使い方があります。ご紹介した使い方や保存法などを参考に、今日から「かつお節」を楽しみましょう!
監修者
杉本恵子(すぎもとけいこ)先生
管理栄養士
ヘルスケアトレーナー
産業栄養指導者
心理相談員
株式会社ヘルシーピット代表取締役
健康にとって本当に必要なものは何かを考え、『⾷事』『運動』『休養』の3つの観点から、ひとりひとりに適した健康作りを提案・実施・サポートしている。
資格
管理栄養士(厚生労働省公認国家資格)
ヘルスケアトレーナー、産業栄養指導者
心理相談員
受賞歴
東京都知事賞受賞、厚生大臣賞受賞
略歴
相模女子大学食物科を卒業後、大手百貨店の健康管理室に勤務。
栄養士として従業員の栄養相談・食事指導をしながら「健康プラザ」という売場づくりを成功へと導く。
1991年、個人の健康管理の全体像を踏まえたトータルなウエルネス管理<健康意識への育成>を行うべく、株式会社ヘルシーピットを設立し代表取締役に就任。健康にとって本当に必要な事は何なのかを考え、「食事」「運動」「休養」の3点から、1人ひとりに適したパーソナルな健康づくりを提唱し実践している。その活動は、企業・健康保険組合が行う社員の健康づくりのコンサルティングやサポートを中心に、出版・新聞・雑誌などの執筆活動、全国各地での講演活動、ラジオ・テレビ出演など多岐にわたり活躍中。その中でも特に、子供からお年寄りまで、誰でもが簡単に毎日実行できる栄養バランスのとり方を分りやすく解説した「杉本恵子の食材5色バランス健康法」が多くの方々から支持を獲得。また、1人でも多くの人がより健康で明るく生き生きと生活できる社会を目指し、全国の管理栄養士・栄養士の育成活動を推進している。