34歳の円田キリコは、料理教室でパン生地に八つ当たりをしていた。
今日は唯一ひとりになれる、月にたった2時間の解放時間だったのだ。
しかし、夫・満が休日出勤になったせいで、泣きわめく3歳の息子・奏太と料理教室に来ることになってしまった。
教室の手鏡に映る自分の姿は、色気のないママだ。
10分で振り返る!連続小説『夫婦の言い分』あらすじ
29,012 View2月6日火曜日20時から始まる新連載『家族の選択』。
前作『夫婦の言い分』をまだ読んでいない人、そして復習したい人が一気読みできるように、そのストーリーをまとめました。
「ごめん、仕事はいった…」土曜出勤の夫を、笑顔で見送れない私
「まっすぐ帰りたくない…」得意先にも妻にもキレられる、俺の土曜出勤
36歳の円田満は、クライアントへの謝罪で急遽土曜日に出勤していた。
スタイリスト派遣事務所でマネージャーとして働いているのだが、アシスタントが撮影用の服をアイロンで焦がしてしまったのだ。
クライアントに怒られる中で、今朝キリコにも怒られたなと思い出す。
イライラしすぎて夫と話したくない時、私はテレパシーで文句を言う。
後輩のケンゾーと一緒にクライアントへの謝罪を終えた満は、料理教室までキリコを迎えに行くことになった。
ケンゾーの彼女である早智もキリコと同じ料理教室に通っているのだ。
見せつけるようにラブラブな様子のケンゾーと早智とは対照的に、些細なことで満にイライラを募らせてしまうキリコ。
こんなはずじゃなかったのに。
出会った頃の俺たちは…なんていうか、素直だったよな
料理教室の帰り道、満は自分たちの馴れ初めを思い出していた。
付き合って2年。キリコが29歳の時に結婚し、奏太が生まれた。
料理教室で出会った2人は、どちらも人見知りだったのに、すんなり話せて打ち解けた。
でも今となっては、その距離は離れてしまい、見えなくなってしまいそうだ。
夫よ、君はいまなぜソファーに座っているのかな?
料理教室が終わり自宅に帰る途中、奏太はおしっこを我慢していたが我慢できずにお漏らしをしてしまう。
濡れてしまったパンツとズボンを洗うキリコを横目に、ソファーでテレビを見始める満。
イライラがマックスに達したキリコは手に泡を付けたまま脱衣所に立ち、リビングにいる満に厳しい視線を向けた。
いつからだろう、妻が俺に相談しなくなったのは。
奏太がおもらしをしたことと夫の満への不満が重なり、イライラがピークを迎えたキリコ。
満は居心地の悪い自宅を後にし、奏太と2人で公園に出かける。
「いつからこんな風になってしまったんだろう…」満は奏太が生まれてからの夫婦関係を思い返すのだった。
後悔してる。風呂掃除する前に牛乳プリンを食べるべきだった、絶対に。
奏太のおもらしパンツを洗いながら、満へのイライラがどうにも治らないキリコ。
そんな気持ちでお風呂掃除をしていると、泡に足を取られて見事なまでに尻もちをつき、腰を強打。
救急車で病院に運ばれ、入院することになってしまった。
え、もうこんな時間…。「ワンオペ育児」初日の夜に思うこと
キリコの急な入院によって、いわゆる「ワンオペ育児」状態になった満。
岐阜に住む両親に電話で助けを求めるもラーメン店を営む両親は手伝いに来ることはできない。
一時保育先を探すため明日は仕事を休むことを決めたものの、奏太はママがいないことでギャン泣きモード。
やっとの思いで寝かしつけると「何やってんだか…」とつぶやいた。
未婚女子に、ちゃんと結婚と育児のリアルを伝えてあげたい私。
朝、目を覚ましたキリコは、自分が病院にいることを思い出す。
奏太が生まれてから朝まで一度も起きずに眠ったのは久しぶりだ。
のんびりテレビをみていると、早智がお見舞いにやってきた。
早智はケンゾーと婚約したことをキリコに告げ、結婚と子育ての理想を熱く語る。
子育ては、人見知りだった私を変えた
入院中のキリコは、ママ友とLINEグループで会話をしながら、ふとあんなに人見知りだった自分に「ママ友」ができたことを不思議に想う。
キリコは病室で、これまでの自分の子育てが置かれていた環境を、初めて客観的に振り返る。
「俺の公園デビュー」圧倒的アウェー感を救ってくれた三人の女性たち
「ワンオペ育児」状態になった満は、一時保育先を見つけるために奏太を連れ区役所へ向かうが、なかなかうまく事は運ばない。
そして帰りに立ち寄った公園で、思いがけず、キリコのこれまでの努力を感じさせられることになった。
夫の愚痴なんて、もうずっと聞いてない気がする
昨日の公園で起きた「小川事件」の内容を聞いて満に呆れる一方で、自分も満の話を聞くことが減り、相手の気持ちが分からなくなっていることに気づくキリコ。
一歩ずつ歩み寄ろうとし始めたように見えた二人だが、一時保育の預け先選びの件で、また距離ができてしまうのだった。
「親子で発熱するとしんどい説」は、ガチだった。
ワンオペ育児状態となった満は初日から散々苦労するのだが、さらに悪いことに自分が発熱。
そして息子の奏太も発熱してしまう。
診察券を必死に探して小児科に向かうが、そこには満の想像をはるかに超える厳しい状況が待っていた。
どう考えてもしゃべりすぎた。恥ずかしい、でも、スッキリ。
奏太とともに発熱した満。
激混みの小児科の診察の帰り道、疲れ果てた満は奏太を連れ行きつけのカフェへと向かった。
満はカフェに居合わせた早智にワンオペの大変さをものすごい勢いで語ってしまい、戸惑いつつ聞いてもらうだけですっきりするということに気づく。
そうか、「任せるよ」は優しさではないのか
満が話をしていると早智が突然泣き出した。
話を聞くと、そこには本音を出せないカップルの苦悩があったようだ。
結婚とは、夫婦とは何か。早智にアドバイスをしながら満は考える。
「察して動け」って、無茶な期待だったのかもしれない…
キリコが病室で寝ていると、また早智が訪ねてきた。
話を聞いているうちに、自分のこれまでの振る舞いについてもぼんやりと考えさせられていたキリコは、早智が発した「私たちも何でも分かり合える夫婦になれるのでしょうか」という言葉が引っかかる。
夫が自分で決めて動いてくれた事は、私たちにとってプラスだ。
早智は、昨夜カフェで満と会ったことキリコに伝え、満が抱えている悩みをキリコに伝言する。
キリコは予想外な夫の発言を聞き戸惑いながらいろいろな感情が駆け巡り、これからのことを夫とちゃんと話そうと心に決めたのだった
ごめんな。急いでお迎えくるから、待っててな。
朝の支度に苦労しながらもなんとか奏太を一時保育に預け、数日ぶりの会社に出勤した満。
ケンゾーと結婚した理由や仕事の話をしながら、定時には会社を出られそうだなと思った矢先、トラブルを知らせる電話が鳴ってしまう。
お迎えアクシデントが、俺の覚悟を試している
数日ぶりの会社に出勤した満は順調に仕事をこなし、予定通りお迎えに行くはずだった。
しかし予想外のアクシデントで奏太のお迎えに間に合わず、キリコを怒らせてしまう。
「今日こそ、ちゃんと話そう」二人ともそう思っていたのに…
少し時間は遡る。朝に訪ねてきた早智が帰り、部屋でぼんやりしていたキリコ。
奏太は今日、はじめての保育園だ。
不安な気持ちでいると、満から電話がかかってきた。
仕事のトラブルで奏太に寂しい思いをさせてしまった満。
そして夫婦の思いはまたすれ違ってしまう。
聞く耳を持たなかったのは、私の方だったのかもしれない
向き合う必要は感じていたのに、いざ話す場面になると、いつも通り言い争いになってしまったキリコと満。
後味の悪い時間を過ごしていると、そこに早智とケンゾーがやってきた。
そこでキリコは、自分の知らない満の想いや、会社で置かれている状況を知ることとなる。
家族の再出発は、いまからでも間に合うだろうか。
病院で言い争いになり、奏太を連れて帰宅した満。
しかし、奏太は「ママがいい!」と泣きながら家の外に出ていってしまう。
泣きじゃくる奏太を抱きしめながら、満は初めてキリコのこれまで苦労に想いをはせる。
ぎこちない夫婦の会話。でも、これまでの二人とは違っていた。
夫に向き合おう。私の気持ちも伝えよう。
キリコはそう決めて、「Q.仲直りしたい時はどうすればいい? 忘れちゃった」と満にメッセを送る。
2人はこの数日間で、これまで伝えていなかったお互いの苦労や家族への想いを知った。
円田家は第2のスタートを切った――。
続編『家族の選択』連載スタート!
子どもが生まれた。
親になった。
家族と過ごす時間だって大事にしたい。
でも小さい頃からの夢だった仕事だってあきらめたくない。
キリコ退院から7ヶ月。
「家探し」をキッカケに、円田家に新たな波乱の予感?
キリコ、満、そして奏太。それぞれの選択は…。
続編『家族の選択』は、2月6日(火)20時スタート!
お楽しみに!
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